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第22話 侯爵夫人にはならないけれど③

Author: なつめ
last update publish date: 2026-08-05 10:03:56

 その言葉を口にした瞬間、胸の奥が少しだけ痛んだ。

 愛がある。

 そう、もうそれを完全には否定できないところまで来てしまった。

 彼が最初から愛していたと言ったこと。

 それが嘘ではないと、今はもう分かっている。

 だからこそ、余計に厄介なのだ。

 もし彼を憎むだけで済んでいたなら、どれほど楽だっただろう。

 セドリックは低く言った。

「私は」

「分かってる」

「何を」

「今度こそ違う愛し方をしたいんでしょう」

「……」

「沈黙じゃなく、言葉で」

「……ああ」

「でもね」

 リリアーナは、そこでほんの少しだけ視線を落とした。

 池の水面が見える。

 白い空を映して、どこまでも曖昧な色だ。

「私は、あなたを完全な他人としても見ていないの」

 その言葉は、自分でも驚くほど静かに出た。

 セドリックが動く。

 驚いたのか、痛んだのか、その両方か。

 でも今度は、リリアーナのほうが視線を逸らさなかった。

「他人だったら、もっと簡単に拒めたわ」

「……」

「知らなかったら、もっと冷たくできた」

「……」

「でも、知ってしまったから」

 胸の奥がじくじく
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